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トラウマ・愛着障害・過去の傷つき体験

キーワード:トラウマ、PTSD、愛着障害、複雑性トラウマ、心的外傷、トラウマケア、トラウマ・インフォームドケア

過去の辛い経験やトラウマに苦しんでいませんか?心の傷は時間が経っても自然に癒えるとは限りません。トラウマや愛着の問題は、現在の人間関係や日常生活にも影響を及ぼすことがあります。つらい記憶や感情を一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けることで、心の傷を癒し、新たな一歩を踏み出すことができます。札幌 カウンセリング『優しい詩』では、トラウマ・インフォームドケアの視点から、安全と安心を最優先にしたサポートを提供し、あなたの回復と成長をサポートします。

目次

  • トラウマと愛着障害について
  • トラウマの症状と影響
  • トラウマが脳と身体に与える影響
  • トラウマを引き起こす体験の具体例
  • トラウマからの回復のために
  • 専門家に相談すべきタイミング
  • カウンセリングで期待される効果
  • 『優しい詩』でのトラウマケアへのアプローチ
  • まとめ

トラウマと愛着障害について

トラウマ(心的外傷)とは、個人の対処能力を超えた強い恐怖、無力感、強烈な恐怖体験を伴う出来事を経験することで生じる心理的な傷つきを指します。一般的なイメージとは異なり、トラウマは必ずしも戦争や災害などの大規模な出来事だけでなく、日常的な出来事や人間関係の中でも生じることがあります。

日本トラウマティック・ストレス学会によると、トラウマ体験は決して珍しいものではなく、多くの人が人生のどこかでトラウマとなりうる出来事を経験しています。厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、日本では総人口の約1.3%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するとされています。

トラウマの種類

単回性トラウマ(Type Iトラウマ)

  • 自然災害(地震、津波、火災など)
  • 事故(交通事故、転落事故など)
  • 突然の喪失や別離
  • 犯罪被害(暴行、強盗など)

複雑性トラウマ(Type IIトラウマ)

  • 繰り返される児童虐待(身体的、心理的、性的、ネグレクト)
  • ドメスティックバイオレンス(DV)
  • いじめや差別の継続的な体験
  • 戦争や紛争の長期的な体験

発達性トラウマ

  • 幼少期の養育環境における安全感や安定感の欠如
  • 愛着対象からの分離や喪失
  • 感情の無視や否定による心理的虐待
  • 不適切な養育環境による基本的欲求の充足不全

愛着障害とは

愛着とは、子どもが養育者(主に親)との間に形成する情緒的な絆のことを指します。この絆は、子どもの脳の発達や後の人間関係の基盤となる重要なものです。幼少期の養育環境が不安定だったり、虐待やネグレクトがあった場合、健全な愛着の形成が妨げられ、愛着障害や不安定な愛着スタイルが形成されることがあります。

愛着研究の第一人者である精神科医の岡田尊司氏によれば、不安定な愛着スタイルを持つ人は成人の約3割以上にのぼるとされています。これは多くの人が、程度の差はあれ愛着に関する課題を抱えていることを示しています。

主な愛着スタイル

愛着スタイルは、主に以下の4つに分類されます。

安定型愛着(Secure Attachment)

  • 他者を信頼し、親密な関係を心地よく感じる
  • ストレス時には適切にサポートを求めることができる
  • 自立と依存のバランスが取れている

不安型愛着(Anxious Attachment)

  • 見捨てられることへの強い不安と恐れ
  • 親密な関係における過度な承認欲求
  • 相手の気持ちや行動を過剰に監視する傾向

回避型愛着(Avoidant Attachment)

  • 親密さや依存を避ける傾向
  • 感情表現が少なく、自己開示を控える
  • 過度な自立性と他者への不信感

混乱型愛着(Disorganized Attachment)

  • 愛着対象に対して矛盾した行動(接近と回避の両方)
  • 対人関係における予測不能な反応パターン
  • トラウマ体験と関連することが多い

トラウマや愛着の問題は、適切な理解とケアによって改善し、健全な人間関係を再構築することが可能です。

トラウマの症状と影響

トラウマは、心身の様々な側面に影響を及ぼします。症状は個人によって異なりますが、主に以下のような形で現れることがあります。

心理的症状

  • 侵入症状(フラッシュバック、悪夢、侵入的な記憶)
  • 回避症状(トラウマを想起させるものからの回避)
  • 過覚醒症状(過度の警戒心、驚愕反応の増大)
  • 感情の麻痺や解離症状
  • うつ症状や不安症状
  • 自己評価の低下や罪悪感
  • 無力感や未来に対する悲観的な見方
  • 怒りや敵意の爆発

身体的症状

  • 睡眠障害(不眠、悪夢、中途覚醒)
  • 身体の痛み(頭痛、筋肉痛、腰痛など)
  • 消化器系の問題
  • 免疫機能の低下
  • 慢性的な疲労感
  • 自律神経系の不調(動悸、発汗、めまいなど)
  • 感覚過敏や身体感覚の変化

対人関係への影響

  • 信頼関係の構築困難
  • 親密さへの恐れ
  • 境界線の混乱(過度の依存または回避)
  • 対人関係における過敏さや防衛的な姿勢
  • コミュニケーションの困難さ
  • 社会的引きこもり
  • 対人関係におけるトラウマの再演

日常生活への影響

  • 仕事や学業のパフォーマンス低下
  • 集中力や記憶力の問題
  • 決断力の低下
  • 日常的な活動への意欲低下
  • 過度のストレス反応
  • アルコールや薬物への依存
  • 自傷行為やリスク行動

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、トラウマの症状は、出来事の直後に現れることもあれば、何ヶ月または何年も経ってから現れることもあります。症状が1ヶ月以上続き、日常生活に著しい支障をきたす場合は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されることがあります。

一般的なストレスとトラウマの違い

一般的なストレスとトラウマの主な違いは、以下の点にあります:

一般的なストレストラウマ
対処可能なレベルの負荷対処能力を超える圧倒的な体験
状況が解決すれば徐々に回復する状況が解決しても症状が持続することがある
現実感や連続性を維持できる現実感の喪失や解離が生じることがある
「何をするか」という行動の問題「誰であるか」というアイデンティティの問題
意識的な記憶として統合される断片的で侵入的な記憶として残りやすい

トラウマが脳と身体に与える影響

トラウマは単なる心理的な問題ではなく、脳の機能や身体の生理的反応にも大きな影響を与えます。

脳への影響

扁桃体の過活動 扁桃体は恐怖や危険を感知する脳の部位です。トラウマを経験すると、この部位が過敏になり、危険でない状況でも脅威として認識しやすくなります。これにより、日常的な刺激に対しても過剰な恐怖反応が生じることがあります。

前頭前野の機能低下 前頭前野は感情の調整や合理的な判断を担う部位です。トラウマによってこの機能が低下すると、感情のコントロールが難しくなり、衝動的な反応が増えることがあります。

海馬の変化 海馬は記憶の形成と統合に重要な役割を果たします。トラウマによるストレスホルモンの影響で海馬の機能が低下すると、トラウマ体験の記憶が断片化し、文脈から切り離された形で保存されることがあります。これがフラッシュバックの一因となります。

脳の統合機能の障害 左脳(言語・論理)と右脳(感情・身体感覚)の統合が阻害されることで、トラウマ体験を言語化して理解することが困難になります。体験は言葉にならない感覚や情動として残り続けることがあります。

身体への影響

自律神経系の変調 トラウマにより、交感神経系(闘争・逃走反応)が過剰に活性化するか、あるいは副交感神経系の極端な反応(凍結・解離反応)が生じやすくなります。その結果、自律神経系のバランスが崩れ、様々な身体症状が現れることがあります。

HPA軸の機能不全 視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)はストレス反応を調整する重要なシステムです。トラウマによりこの機能が乱れると、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌パターンが変化し、免疫機能や代謝にも影響が及びます。

ポリヴェーガル理論による理解 スティーブン・ポージェスによるポリヴェーガル理論では、トラウマ反応を以下の3段階で説明しています。

  1. 社会的交流システム(安全・つながり):健康な対人関係と安全感の状態
  2. 交感神経系の活性化(闘争・逃走):危険に対する活動的な防衛反応
  3. 背側迷走神経系の活性化(凍結・解離):圧倒的な脅威に対する原始的防衛反応

トラウマを経験した人は、しばしば1の状態(安全感)を維持することが難しく、些細なストレスでも2や3の状態に移行しやすくなります。

身体に記憶されるトラウマ ベッセル・ヴァン・デア・コークの研究によれば、トラウマは「身体は記憶する」と表現されるように、言語的記憶だけでなく、身体感覚や緊張パターンとしても保存されます。

トラウマを引き起こす体験の具体例

※事例は複数の相談事例をもとに再構成したものです。個人が特定されないよう、年齢・性別・状況などに変更を加えていますのでご了承ください。

1. 幼少期のトラウマと愛着の問題

幼少期の養育環境は、人の心理的発達と後の人間関係の基盤となります。不適切な養育環境は、複雑なトラウマや愛着の問題を引き起こすことがあります。

事例:Aさん(28歳・女性)の場合

Aさんは一見すると順調な社会人生活を送っていましたが、親密な関係を築くことに強い不安と恐れを感じていました。恋愛関係になると、相手が自分を見捨てるのではないかという強い不安に襲われ、確認行動を繰り返したり、逆に急に距離を置いたりする行動パターンに悩んでいました。

幼少期のAさんの家庭では、母親がうつ病を患っており、感情的に不安定な状態でした。母親の気分に合わせてAさんは「いい子」でいる必要があり、自分の感情を押し殺すことを学びました。父親は仕事で多忙であり、家庭内で情緒的に不在がちでした。Aさんは、親の気分に敏感に反応し、親の機嫌を取ることで安全を確保するという対処パターンを身につけました。

カウンセリングの中で、Aさんは幼少期の記憶や感情を探索していく中で、自分の感情を適切に認識し表現することが難しいこと、他者との適切な距離感がわからないこと、親密な関係における強い見捨てられ不安があることに気づきました。これらは、不安定な愛着スタイルと早期の関係性トラウマの影響でした。

幼少期のトラウマと愛着の問題の主な要因:

  • 感情的虐待(無視、否定、批判、恥辱)
  • 身体的虐待や性的虐待
  • ネグレクト(身体的・情緒的ニーズの無視)
  • 親の精神疾患や依存症
  • 家庭内暴力の目撃
  • 親の不在(死別、離別、長期的別離)
  • 一貫性のない養育態度

2. 対人関係におけるトラウマ

人間関係におけるトラウマ体験は、その後の対人関係やアイデンティティに大きな影響を与えることがあります。

事例:Bさん(42歳・男性)の場合

Bさんは仕事での評価も高く、家庭も持つ社会的に成功した男性でしたが、社内の人間関係に極度のストレスを感じ、心身の不調を訴えて来談しました。仕事内容自体はこなせるものの、会議での発言や上司との面談の前には強い不安と緊張に襲われ、時に動悸や発汗などのパニック症状が出ることもありました。

詳しく話を聞くと、入社5年目の頃、当時の上司からのパワーハラスメントを1年以上にわたって経験していたことがわかりました。他のスタッフの前で厳しく叱責され、「使えない」「無能」などの言葉で人格を否定されることが日常的にありました。周囲も同調するか沈黙するかで、孤立無援の状態が続きました。

上司の異動で状況は改善したものの、その後もBさんは権威的な立場の人との関係で強い緊張と警戒心を感じ、自分の意見を言うことが極端に怖くなりました。また、自分の能力に対する自信を喪失し、評価される場面では過度に不安を感じるようになりました。

カウンセリングの中で、Bさんはこれが職場におけるトラウマ体験であったことを理解し、過去の出来事と現在の反応を区別できるようになっていきました。

対人関係におけるトラウマの主な要因:

  • 職場や学校でのハラスメント(パワハラ、セクハラ、モラハラ)
  • いじめや社会的排除
  • 人間関係における裏切りや背信
  • 公的場面での恥辱体験
  • 対人暴力(身体的・言語的・心理的)
  • 強制的な支配・統制関係
  • 性暴力やセクシュアルハラスメント

3. 事故や災害によるトラウマ

予期せぬ事故や災害は、その突然性や制御不能性により、強いトラウマ反応を引き起こすことがあります。

事例:Cさん(35歳・女性)の場合

Cさんは2年前に交通事故に遭い、幸い命に別状はなかったものの、その後の生活に大きな変化が生じました。事故の記憶は断片的でしたが、車のブレーキ音や衝撃の感覚が鮮明に残っていました。

事故後、Cさんは車に乗ることへの強い恐怖を感じるようになりました。最初は自分で運転することができなくなり、次第に車に同乗することさえ困難になりました。道路を歩く時も常に緊張状態で、車の音が聞こえると体が固まり、動悸や呼吸困難を感じることがありました。

また、事故の光景が突然フラッシュバックとして現れ、夜間は事故の悪夢で眠れないことも多くなりました。仕事や日常生活も徐々に制限されるようになり、社会活動が狭まっていきました。「もう元の生活には戻れない」という絶望感も強くなっていました。

カウンセリングでは、トラウマ反応について心理教育を受け、自分の症状を理解することから始めました。安全なカウンセリング環境の中で、トラウマ記憶を徐々に処理し統合していく作業を進めていきました。

事故や災害によるトラウマの主な要因:

  • 交通事故や労働災害
  • 自然災害(地震、台風、洪水など)
  • 火災や爆発事故
  • 突然の生命の危機
  • 重篤な医療処置や手術
  • 重大な怪我や後遺症
  • 他者の死傷の目撃

トラウマからの回復のために

トラウマからの回復は可能です。以下に、回復に向けた重要なアプローチをご紹介します。

1. トラウマ理解と心理教育

トラウマの知識と理解は、回復の第一歩です。

  • トラウマ反応は正常な反応であることの理解
  • 自分の症状とその意味についての知識獲得
  • トラウマが脳と身体に与える影響の理解
  • 回復プロセスと必要なケアについての認識

トラウマ反応を「異常」ではなく、圧倒的な体験に対する正常な反応として理解することで、自己批判や恥の感覚が軽減されることがあります。また、症状には意味があり、かつては生存のために役立った反応であることを理解することも重要です。

2. 安全と安定の確立

回復のためには、まず心身の安全と安定が必要です。

  • 物理的・心理的安全の確保
  • 日常生活のリズムと構造の安定化
  • 健康的な生活習慣の構築(睡眠、食事、運動)
  • 自己調整スキルの獲得
  • サポートネットワークの構築

トラウマ研究者のジュディス・ハーマンの研究によれば、トラウマからの回復には段階があり、最初の段階は安全の確立です。安全感なしには、トラウマ記憶の処理や統合は困難であるとされています。

3. トラウマ・インフォームドケアの視点

トラウマ・インフォームドケア(Trauma-Informed Care)は、トラウマの影響を理解し、再トラウマ化を防ぎながら支援するアプローチです。以下の原則に基づいています:

  • 安全の確保:物理的・心理的・感情的な安全を最優先にする
  • 信頼と透明性:支援プロセスの明確な説明と自己決定の尊重
  • 協働とエンパワメント:クライアントを問題の専門家として尊重する
  • 選択肢の提供:クライアントが自分で選択し、コントロール感を持てるようにする
  • 強みの重視:問題だけでなく、リソースや強みにも焦点を当てる

トラウマ・インフォームドケアでは、「何があなたの身に起きたのか」という視点で、その人の行動や反応をトラウマの影響として理解します。

4. 自己調整スキルの習得

トラウマの影響で乱れがちな自律神経系や感情を調整するスキルを身につけることは、回復の重要な一部です。

  • グラウンディング技法(今この瞬間に存在することを感じる)
  • 呼吸法や筋弛緩法
  • マインドフルネス練習
  • 感情認識と表現のスキル
  • ストレス対処法の多様化

これらのスキルは、トラウマによる過覚醒や解離などの症状に対処し、日常生活の質を高めるのに役立ちます。

5. 対人関係の回復と再構築

トラウマは対人関係を通じて傷つき、また対人関係を通じて癒されるものです。

  • 安全な信頼関係の構築
  • 健全な境界線の設定
  • コミュニケーションスキルの向上
  • 社会的つながりの徐々の再構築
  • 親密さへの恐れや不安への対処

ジュディス・ハーマンは「トラウマと回復」の中で、「トラウマからの回復は孤立した状態では起こりえない。それは他者とのつながりの中でのみ起こる」と述べています。

専門家に相談すべきタイミング

トラウマや愛着の問題は早期の支援が効果的です。以下のような場合は、専門家への相談を検討することをお勧めします。

相談を検討すべき状況

  • 日常生活や仕事、人間関係に支障が出ている
  • 強い不安や緊張感が継続している
  • 感情の調整が難しく、突然の感情の波に襲われる
  • 自分の反応や行動について混乱や困惑を感じる
  • 安心して眠ることが難しい
  • 身体の不調が続いている(頭痛、胃痛など)
  • 人間関係で同じパターンを繰り返してしまう
  • 周囲の人が心配している
  • 自分の状態について「何かおかしい」と感じる

専門家の選び方

トラウマケアには専門的な知識と安全性が重要です。下記のポイントを参考に選ぶと良いでしょう:

  • トラウマや愛着に関する専門知識を持つカウンセラー
  • トラウマ・インフォームドケアの視点を持つ専門家
  • 安全と安定を重視するアプローチをとる専門家
  • 相性や安心感を大切にした選択
  • 無理に深いトラウマワークを勧めない専門家

日本では、トラウマに関する専門的な治療やサポートを提供する医療機関や心理カウンセリング機関が増えてきています。信頼できる専門家のサポートを受けることで、症状の理解や対処法の習得、そして少しずつの回復が期待できます。

カウンセリングで期待される効果

トラウマ・インフォームドケアの視点に基づくカウンセリングでは、以下のような効果が期待できます。

1. 安全感の回復

カウンセリングでは、まず心理的・感情的に安全な環境を提供します。この安全な関係性の中で、少しずつ日常生活での安全感を回復していくプロセスをサポートします。無理に過去のトラウマに触れることなく、現在の安全感を構築することを優先します。

2. 症状の理解と自己受容

トラウマ反応は「異常」なものではなく、強い体験に対する正常な反応であることを理解し、自分自身を責めることなく受け入れられるようになります。自分の反応や行動パターンについて「なぜそうなるのか」という理解が深まることで、自己批判が減り、自己受容が増していきます。

3. 対処スキルの習得

日常生活で役立つ具体的なスキルを身につけることができます:

  • 感情調整の方法
  • ストレス対処法
  • 安全なグラウンディング技法
  • 健全な境界線の設定
  • 自分をケアする方法

これらのスキルは、トラウマの影響による不快な症状や反応に対処する助けとなり、日常生活の質を高めることにつながります。

4. 対人関係パターンの緩やかな変化

安全なカウンセリング関係を通じて、新しい対人関係体験を積み重ねていくことができます。これにより、過去のトラウマや不安定な愛着から形成された対人関係パターンが、少しずつ柔軟になっていく可能性があります。信頼や適切な距離感、自己表現などについて、新たな体験を通して学んでいきます。

5. 資源と強みの発見

自分の中にある強みやリソース(資源)に気づき、それを活かす方法を見つけることができます。トラウマによって見えにくくなっていた自分の肯定的な側面や能力に光を当て、それらを日常生活に取り入れていくことで、自信と希望を少しずつ取り戻していきます。

『優しい詩』のカウンセリングでは、過去のトラウマを掘り下げるよりも、現在の安全と安定を築き、その土台の上で少しずつ前に進んでいくことを大切にしています。苦しい介入や無理な変化を強いることなく、あなたのペースを尊重した穏やかなプロセスをサポートします。

『優しい詩』でのトラウマケアへのアプローチ

『優しい詩』では、トラウマや愛着の問題に対して、トラウマ・インフォームドケアの視点を基盤とした安全と安心を最優先にしたアプローチを提供しています。

1. トラウマ・インフォームドケアの実践

トラウマ・インフォームドケアとは、「何があなたに起きたのか」という視点で、その人の行動や反応をトラウマの影響として理解し、再トラウマ化を防ぎながら支援するアプローチです。『優しい詩』では、以下の原則に基づいたケアを提供しています:

安全の確保

  • 物理的・心理的・感情的な安全を最優先にする
  • カウンセリング環境の予測可能性と一貫性を保つ
  • クライアント自身がコントロール感を持てるよう配慮する

信頼と透明性

  • カウンセリングのプロセスや目的について明確に説明する
  • クライアントの選択と自己決定を尊重する
  • 無理に過去のトラウマに触れることはしない

協働とエンパワメント

  • クライアントを問題の専門家として尊重する
  • 強みと資源に焦点を当てる
  • クライアント自身の回復力を引き出すサポート

文化的・歴史的・ジェンダー的配慮

  • 個人の背景や価値観を尊重する
  • 社会的文脈でのトラウマ体験の理解
  • 多様性への敏感さと適応性

トラウマ・インフォームドケアは、「問題や症状の治療」ではなく、「人としての全体性の尊重と支援」を重視します。『優しい詩』では、クライアントが自分のペースで、安全感を保ちながら回復の道を歩めるよう配慮しています。

2. 安全と安定を最優先にしたアプローチ

『優しい詩』では、過去のトラウマに深く立ち入るような介入よりも、現在の安全と安定を確立することを重視しています:

  • 「今・ここ」での安全感の構築
  • 日常生活における安定したリズムと構造の確立
  • ストレス反応や感情を調整するためのスキル習得
  • 自己をケアする方法の習得
  • 健全な境界線の設定と維持の練習

このアプローチでは、無理に過去のトラウマ記憶に触れたり、詳細を語る必要はありません。むしろ、現在の生活の質を高め、安全な関係性を経験することを通じて、徐々に回復していくプロセスを大切にしています。

3. 心理教育とスキル構築

トラウマについての正しい知識と、日常生活で役立つスキルの習得をサポートします:

  • トラウマと脳の関係についての理解
  • トラウマ反応の正常化(異常な状況に対する正常な反応という理解)
  • トリガーの特定と対処法
  • 感情調整スキルの習得
  • グラウンディング技法の実践
  • リソースの構築と強化

心理教育は、自分自身の反応について「何か間違っている」という自責感や混乱を減らし、理解と受容を促進します。また、具体的なスキルの習得は日常生活での安定感を高めるのに役立ちます。

4. 関係性を通じた癒しのアプローチ

『優しい詩』では、カウンセリングの関係性そのものが癒しの場となることを大切にしています:

  • 尊重と受容のある関係性の経験
  • 安全な他者との適切な距離感の体験
  • 一貫した応答性のある関わり
  • 感情の調律と共感的理解
  • 自己有用感と自己価値感の再構築

深いトラウマ処理技法を用いなくても、安全で尊重される関係性の中で、新たな対人関係体験を積み重ねることが、トラウマからの回復に大きく貢献します。

5. リソースと強みの活用

『優しい詩』では、トラウマ体験よりも、その人が持つリソースや強みに焦点を当てます:

  • 過去の成功体験と対処能力の発見
  • 現在活用できる内的・外的資源の特定
  • 小さな成功体験の積み重ね
  • レジリエンス(回復力)の強化
  • 価値観や意味の再発見

このアプローチでは、「何が問題か」よりも「何が役立つか」に焦点を当て、クライアント自身の回復力を信頼し、それを引き出すサポートを心がけています。

6. 安心感を提供する環境づくり

『優しい詩』のカウンセリング環境は、トラウマを抱える方が安心して過ごせるよう、以下のような配慮をしています:

  • 静かで落ち着いた空間
  • クライアントのペースを尊重する時間の使い方
  • 圧力や期待をかけない関わり
  • 選択肢の提供とクライアントの自己決定の尊重
  • 非侵襲的で負担の少ないアプローチ

トラウマを抱える方にとって、「また傷つくのではないか」という不安は大きなものです。『優しい詩』では、カウンセリング自体が新たな負担やストレスとならないよう、細心の注意を払っています。

まとめ

トラウマや愛着の問題は、適切なケアと理解があれば回復可能です。過去の辛い経験が現在の人生を左右し続ける必要はありません。

『優しい詩』では、トラウマ・インフォームドケアの視点から、安全と安心を最優先にしたサポートを提供します。無理に過去を掘り下げたり、痛みを再体験させるような深い介入は行わず、あなたの安全感とペースを第一に考えます。

私たちは、あなたが持つ内側の力と回復力を信じています。カウンセリングの関係性と安全な環境の中で、少しずつ自分らしさを取り戻し、より豊かな人生を歩んでいけるようサポートいたします。

安心してご相談ください。札幌カウンセリング『優しい詩』では、あなたのペースを尊重し、無理なく一歩ずつ前に進む道のりに寄り添います。トラウマを抱えていても、あなたの人生は豊かで意味あるものになることができます。

【トラウマと関連のある「不安障害」については、こちらのページで詳しく説明しています。】

【トラウマと関連のある「うつ病」については、こちらのページで詳しく説明しています。】

参考文献・出典

  1. 日本トラウマティック・ストレス学会 (2023) 「PTSDとは」, https://www.jstss.org/ptsd/
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット (2024) 「PTSD」, https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-06-001.html
  3. 野坂祐子 (2019) 『トラウマインフォームドケア “問題行動”を捉えなおす援助の視点』日本評論社
  4. 亀岡智美編著 (2022) 『実践トラウマインフォームドケア』日本評論社
  5. ジュディス・ハーマン著, 中井久夫訳 (1999) 『心的外傷と回復』みすず書房
  6. ベッセル・ヴァン・デア・コーク著, 柴田裕之訳 (2016) 『身体はトラウマを記録する』紀伊國屋書店
  7. 岡田尊司 (2022) 『愛着障害と複雑性PTSD』光文社
  8. 中尾達馬, 加藤和生 (2004) 「成人愛着スタイル尺度(ECR)の日本語版作成の試み」『心理学研究』Vol.75, No.2, pp.154-159

最終更新日:2025年4月28日

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