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5月病との向き合い方
新生活のスタートから約1ヶ月、何だか体がだるい、やる気が出ない、朝起きるのがつらい…。そんな状態は「5月病」かもしれません。本コラムではそんな「5月病」との向き合い方をご紹介します。
5月病とは
5月病は、4月に新生活をスタートさせた後、ゴールデンウィークを過ぎた頃から現れる心身の不調のことです。医学的には「適応障害」や軽度の「うつ病」と診断されることが多く、環境の変化によるストレスが主な原因となります。
調査によると、約4人に1人が経験するこの症状は、決して珍しいものではありません。特に20代の女性では約4割が経験していると言われています。
こんな症状に心当たりはありませんか?
心の症状
- 憂うつな気分が続く
- 不安感やイライラが強まる
- やる気や集中力の低下
- 何もかもが面倒に感じる
体の症状
- だるさや疲労感が取れない
- 頭痛や肩こりがひどくなる
- 食欲の変化(不振または過食)
- 眠れない、または逆に眠りすぎる
行動の変化
- 仕事や学校に行きたくなくなる
- 人との交流を避けるようになる
- 身だしなみに無頓着になる
これらの症状が2週間以上続く場合は、単なる疲れではなく5月病の可能性があります。医師の診察を検討されることをお勧めします。
なぜ5月病になるの?
5月病は単なる気の持ちようではなく、様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされるものです。
環境の変化によるストレス
4月からの新しい環境では、次のような様々なストレスに直面します:
- 新しい人間関係の構築
- 未経験の仕事や学業への適応
- 責任の増加や役割の変化
- 生活リズムの変化
特に「入社」は男女ともに5月病の最大の原因として挙げられています。約4割の20代女性が5月病を経験したという調査結果もあります。
自律神経のバランスの乱れ
過度なストレスは自律神経のバランスを崩します。
- 交感神経(活動モード)が過剰に働き続ける
- 副交感神経(休息モード)がうまく機能しなくなる
- 夜になってもリラックスできず、睡眠の質が低下する
緊張の緩み
ゴールデンウィークの連休は、それまで張り詰めていた緊張の糸が緩む時期です。この「緊張の緩み」がかえって心身の不調として表面化することがあります。
なりやすい人の特徴
5月病になりやすい人には、次のような傾向があります:
- 真面目で責任感が強い
- 完璧主義の傾向がある
- 他人への配慮を重視する
- 頑張りすぎてしまう
- 嫌なことを引き受けてしまいやすい
- 物事を深刻に捉えがち
「失敗したくない」という思いだけでなく、これらの性格傾向によって、ストレスを抱え込みやすくなります。一人で悩みを抱え込み、周囲に相談できないことも症状を悪化させる要因となります。
5月病との向き合い方
① 自分を責めないこと
5月病は怠けではなく、頑張ってきた証拠です。「自分だけがダメなのでは」と思わないでください。多くの人が経験する自然な反応です。
② 心と体を休める時間を作る
小さな成功体験を積み重ねることで自信を取り戻しましょう。無理せず、できることから少しずつ。
③ 信頼できる人に話を聞いてもらう
悩みを一人で抱え込まず、家族や友人、同僚など信頼できる人に話してみましょう。話すだけでも心が軽くなります。
④ 生活リズムを整える
質の良い睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は心の健康を支える基本です。特に、軽い運動は脳内の幸福感を高めるホルモンの分泌を促します。
⑤ リラックス法を取り入れる
深呼吸やストレッチ、好きな音楽を聴くなど、自分に合ったリラックス法を見つけましょう。短時間でもいいので、意識的に心を落ち着ける時間を作ることが大切です。
当カウンセリングルームでお手伝いできること
症状が2週間以上続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。『優しい詩』では以下のような支援を受けることができます。
提供している支援
- 専門的な心理カウンセリング:公認心理師・看護師としての専門知識と経験を活かし、5月病の症状や原因を丁寧に分析し、一人ひとりに合った対処法をご提案します。
- クライアント中心の寄り添う傾聴:あなたのペースで話せる安心感を大切に、どんな思いも受け止め、共感的に理解します。
- 認知行動療法アプローチ:ネガティブな思考パターンに気づき、より健康的な考え方へと変化するためのサポートを行います。
- ストレスマネジメント技法の習得:日常生活で実践できるリラクセーション法や自律訓練法などをお伝えします。
- 自己肯定感を高めるワーク:自分を責めがちな思考から解放され、自分の良さに気づくためのワークを行います。
期待できる変化
カウンセリングを継続することで、以下のような変化が期待できます:
- 心の負担が軽くなる実感:話すことで気持ちが整理され、心の重荷が軽くなります。
- 自分を責めない視点の獲得:完璧を求めすぎず、自分を大切にする考え方が身につきます。
- ストレス対処能力の向上:自分に合ったストレス解消法が見つかり、日常生活でも活かせるようになります。
- 睡眠や体調の改善:心の安定とともに、身体症状も緩和されていくことが多いです。
- 前向きな未来展望の回復:「これからどうしよう」という不安から、「一歩ずつ進んでいける」という希望へと変化します。
看護と心理の両面から支援する当カウンセリングルームでは、心だけでなく体の不調にも配慮したアプローチで、あなたの回復をサポートします。どんなに小さなことでも、まずはお気軽にご相談ください。
【5月病と関連のある「適応障害・新しい環境でのお悩み」について、詳しくは「こちらのページ」をご覧ください。】
【5月病と関連のある「うつ病・躁うつ病(気分障害)」について、詳しくは「こちらのページ」をご覧ください。】
参考文献
- チューリッヒ生命 (2018) 「5月病に関する実態調査」
- 厚生労働省 (2023) 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00002.html, 【外部リンク:職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~ |厚生労働省】
- 日本心理学会 (2022) 「ストレスと自律神経系の関係」『心理学研究』Vol.93, No.1, pp.12-25
- 全国健康保険協会 (2025) 「ゴールデンウィークから初夏にかけて気をつけたい「五月病」, https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat510/r07/0502/, 【外部リンク:ゴールデンウィークから初夏にかけて気をつけたい「五月病」 | 健康サポート | 全国健康保険協会】
- 日本精神神経学会 (2023) 「適応障害の診断と治療ガイドライン」『精神神経学雑誌』Vol.125, No.3, pp.223-241